【宇宙真理学会】宗教がラブホを経営した奇妙な話

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歴史

こんにちは。今回は2009年に発覚した、知られざる「宇宙真理学会事件」をご紹介します。

宗教が経営するラブホテル?!

突然ですが皆さん、「宗教法人 宇宙真理学会」って聞いたことありますか?この「宇宙真理学会」、新興宗教の一種でいかにも怪しそうですが、とても奇妙なことに長野県や静岡県でラブホテルを経営していたんです!!

宗教がラブホ経営?!何じゃそりゃ?ってなりますが、実はこれには”大人の事情”が関係しています。

脱税目的で買収された「宇宙真理学会」

実は、宗教法人というのは普通の会社などとは違い、ある種の収益は課税されません。課税されないと言っても、税金が0というわけではなく布施など宗教法人特有の収益の一部です。で、宇宙真理学会というのはこの制度を悪用した訳です。

ことの発端は、もともと長野県でなめ茸や釜飯などの製造を行っていた「小松食品」という会社です。この小松食品の関連会社がホテル経営を各地で行っていました。バブル崩壊後、小松食品は採算が悪化していたようで1993年頃に、休眠状態に陥っていた「宇宙真理学会」を買収し、ラブホ経営で得た収益の一部を「喜捨」などとして課税を免れていたのです。

国税局にバレた!

この手法、かなり賢いですよね笑。実際割と上手く行ったようで、7年以上もの間脱税していたようです。しかも宇宙真理学会は、色々とカモフラージュをしていて、経営するラブホテルの前に巨大な観音像を建てたり、恵まれない子供に喜捨を求める”宗教っぽい”こともやっていました。

しかし、流石にやり過ぎました。2009年の関東信越国税局の調査の手が及び、実に14億円に及ぶ申告漏れを指摘されてしまいました。調査時点で少なくとも23件のホテルを経営していたようなので、いくらなんでもやりすぎです笑。

流石に終わったかと思いきや、宇宙真理学会ここで少し粘ります。宇宙真理学会は実際に募金活動など宗教っぽいこともしているから、脱税ではないという主張で異議申し立てをし、裁判で争うことになりました。3年ほど争った2012年、遂に判決が下りました。結果は「課税は適法」。宇宙真理学会の脱税計画はこうして幕を閉じました。


宇宙真理学会のその後

脱税に失敗した宇宙真理学会ですが、その後どうなったのでしょうか?宇宙真理学会を買収した実質的な親会社の「小松食品」は、もともと経営が悪化しており2015年に破産申し立てを行い、会社として消滅しました。そして、その関連法人である宇宙真理学会も2017年に破産手続きを開始しました。

宇宙真理学会が長野県・静岡県・新潟県などで経営していたラブホテルも競売に掛けられ、所有者が移り各地で解体が始まりました。奇妙な観音像が建ったラブホテルも過去の風景となりつつあります。

宇宙真理学会の創設者は誰?

ここで少し気になるのは、買収される前の宇宙真理学会はどんな団体だったかと言うことです。

宇宙真理学会は1983年に香川県丸亀市で宗教法人としての認可を受けています。このときの宇宙真理学会の創設者は「田辺陽彩」という人物です。宇宙真理学会がまだ設立されたばかりの頃に、田辺陽彩氏は、朝日新聞の新興宗教を特集する書籍の中でインタビューを受けています。

それによると、どうやら田辺陽彩氏はもともとコンサルタントを行っておりそこで人々の相談を聞く中で宗教を立ち上げたようてす。初期の頃は超能力開発などいかにも新興宗教らしいことを行っていたようで、インタビューの中でも披露しています。この頃は3人で運営する小規模な宗教でしたが、一応信者さんがいたようです。

朝日新聞のインタビューの中で、創設者の田辺氏は将来は大きな宗教施設を建てたいと述べています。しかしその夢は叶わず、1993年頃までに何らかの理由で宇宙真理学会には信者はいなくなり、脱税目的に利用されることとなるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。もともと、いかにも新興宗教っぽいことをしていた宇宙真理学会。しかし、信者がいなくなり今度は食品会社のホテル経営に利用されるという異例の事態となりました。

昨今いろいろと問題のある宗教法人が多いですが、調べてみると意外な発見があり面白いですね。

monobe

東海地方生まれ。国公立大学理系出身。鉄道や歴史に興味があり、日頃から書籍などを多く調べています。
一眼レフは10年以上使用しています。株式投資も長く続けています。

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