「小字(こあざ)」とは?小字と大字の違いは?魅力ある字(あざ)の歴史に迫る!

本サイトではプロモーションが表示されます。

歴史

こんにちは。皆さんは「字(あざ)」というものを聞いたことはありますか?「字(あざ)」って読み方も難しいし、都会に住んでいると「小字(こあざ)」とか「大字(おおあざ)」というものはあまり聞きなれませんよね。

そんな字(あざ)についてよく分からないという人のためにこの記事では字(あざ)について詳しく解説します。

「字(あざ)」とは地名のこと!!

「字(あざ)」とは何か?その答えは、ズバリ地名のことです!!
「字(あざ)」って聞くと読み方も難しいし何だか難しそうですが、都会で普通に使われている「渋谷」とか「代官山」とかと同じように単純に地名のことです。

ただし字(あざ)というのは、市町村や区よりも小さい地名のことです。字(あざ)の形態は様々ですが、一般に「〇〇町」と同じような感じで市町村の下に置かれます。市町村の下に「大字(おおあざ)」が置かれ、さらに大字の中に「字(あざ)」が複数置かれることもあります。住所を書くときは、「〇〇市△ **番地」「〇〇市大字□□字△△ **番地」のように書きますが、最近では字を省略できる場合もあるようで、その場合は単に「〇〇市 **番地」とか「〇〇市大字□□ **番地」と書くことになります。

でも普通、都会では「渋谷」や「代官山」のような地名のことを「字(あざ)」とは呼びませんよね。なぜでしょう?実はそれは歴史的な経緯が背景にあります。

実は明治時代以前、日本全国のほとんど各地に「字(あざ)」が設置されていたのです。しかも「字(あざ)」というのは小地名なので、一つの市町村に何百個も字(あざ)があるなんて当たり前でした(例えば渋谷区の中に「渋谷1丁目」から「渋谷100丁目」があるようなイメージです)。

しかし、戦後になると状況が変化していきます。字(あざ)は大量に設置されていて、しかも境界や読み方が分かりにくかったりするので、区画整理に際して字(あざ)の統廃合が進められました
その結果全国に大量にあった字(あざ)が何個か合わさっって「〇〇町」とか「□□ △丁目」のような今よく見かけるような町名ができたのです。複数の字(あざ)が統合されることで、字(あざ)という概念は昭和期以降次第に消えていき、新しくできた町名や丁番が浸透するようになったのです。

 

小字(こあざ)と大字(おおあざ)の歴史

一口に「字(あざ)」といっても「小字(こあざ)」「大字(おおあざ)」の二種類があります。普通、字(あざ)と言えば「小字(こあざ)」のことを指します。この記事でも「字(あざ)」は「小字(こあざ)」という意味で使っています。

「小字(こあざ)」の歴史は古く、このような小地名は古代からあったと考えられていますが、現在使われているような小字は鎌倉時代頃に成立したと考えられています。当初は地形や人で結びついた曖昧な区分だったと思われますが、戦国時代から江戸時代に行われた検地により段々と「字(あざ)」という概念や境界が徐々に明確になっていきました。現在でも小字の中には、古代から伝わるものも一部あり、例えば「一ノ坪」のように「坪」(「壺」)という字が使われている小字は奈良時代に施行された条里制の名残だと言われています。

一方、「大字(おおあざ)」は江戸時代まで「村(むら)」として扱われていた区分を明治時代に統廃合・再編成した際に成立した比較的新しい行政区分です。江戸時代までの「村」というのは現在の村よりも小さな区分で、一つのまとまった集落を表します(例えば秋葉原村とか六本木村のようなものが何個もあるイメージ)。明治時代になるとこのような小さな村を合併させようという動きになります。このときの旧来の村を継承したものが「大字(おおあざ)」です。例えば「〇〇村」と「△△村」が合併し「□□村」が成立したとき、「〇〇村」の領域が「□□村大字〇〇」、「△△村」の領域が「□□村大字△△」となるイメージです。つまり大字という概念自体は比較的新しいですが、江戸時代以前の地名を継承したものが多いので地名そのものとしては古いと言えます(もちろん近代以降に新しく大字を命名したような例外もあります)。

全国には面白い字(あざ)が沢山ある!

字(あざ)は全国的に廃止される動きがありますが、一部自治体ではまだまだ字(あざ)が健在です。まずはこちらをご覧ください。

 

なんと「ヤンチャ」という字(あざ)が使われています!!
この場所の住所は、「愛知県知多郡東浦町藤江字ヤンチャ」です(笑)。
(※ちなみに「藤江」は大字に該当するものと考えられます。)
「ヤンチャ」とはふざけた地名ですが、歴とした字(あざ)です。町のホームページによると、以前は海岸の低湿地で「手の付けようがないわがまま勝手なヤンチャ坊主」のような土地だったことから「ヤンチャ」と呼ばれるようになったそうです。

続いてこちらは、

なんと字(あざ)はカタカナたった一文字「」です(笑)。
初めて見ると「えー!?」と衝撃を受けますが、この場所の住所は本当に「千葉県旭市」(短いっ!)。

このように全国には面白い字(あざ)がまだまだたくさんあります。地図や郷土史を調べてみると面白いかもしれません。

monobe

東海地方生まれ。国公立大学理系出身。鉄道や歴史に興味があり、日頃から書籍などを多く調べています。
一眼レフは10年以上使用しています。株式投資も長く続けています。

monobeをフォローする
歴史
monobeをフォローする
ホビーレイルWeb
タイトルとURLをコピーしました